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私は“存在するということ”がどういうことなのかをテーマに制作を行なっています。
ARやVRを含めたテクノロジーの発展が目覚ましい現代、私達が直感的に感じている“存在”というものが脅かされているのではないでしょうか。今こそ、懐疑の目を向けるときが来ているのではないでしょうか。
VRゴーグルを装着し、あたかも目の前にある様に見える物。そして、それに触れることが出来ず、ゴーグルを外すとその場からそれはその姿を消す。そんな経験に覚えを持つ人は多いことと思います。
では、それは幻想、虚構だったのでしょうか。
その幻想のような物も特殊な手袋を用いれば触れることが出来ます。確かにそこにあると感じることが出来ます。ただし、それは装置を取り外すことによって儚くも目の前から消え去ってしまう物です。
だからと言ってそれを虚構だと断定して良いのでしょうか。
例えば何かしらの方法で私達から視覚・触覚を奪ってしまえば、私達が確かな現実だと思っている物達もまた、儚く消え去ってしまうでしょう。
果たしてそんな儚い物達を本当に現実だと言えるのでしょうか。
私は小学校に入学する以前より、何故自分がここに在るのか、何故世界が在るのかということをぼんやりと考えていました。正しく古今東西の哲学者、科学者を悩ませてきた存在についての問いです。
幼い頃に似た様なことを考えたことがあるという人も多いのではないかと思います。
私はその疑問を今に至るまで抱え続けいる一人の人間です。
私は、私なりの“存在について”を作品を通してここに提示しています。
私がこれまで展開してきた「emptyシリーズ」は“波”をモチーフとしています。
タイトルの「empty」とは[空っぽの~、中身のない~]といった意味を持つ形容詞です。
何故その形容詞をタイトルに据えているのかといえば、それはこの作品を含めた全ての事物に本質、中身などというものは詰まっていないのだ、という考えによるものからです。
では中身はどこにあるか。
この作品に関して言えば、それはその作品としての物体と鑑賞者としてのあなたの間にある結び目がそうです。さらに言えばそこに製作者である私も加わりますし、実を言うともっと多くのものが関わってきます。あらゆる事物の結び目という関係こそが中身であり、意味であり、存在なのです。
“波”というモチーフは一定不変の事物はないということを端的に表し、また、世界の最小単位を記述する量子力学においても非常に重要な意味を持っています。世界は“波”で出来ていると言っても過言ではないかもしれません。
作品上で結ばれている“関係”に目を凝らして見ていただければと思います。
1994 石川県金沢市に生まれる
2016 京都芸術大学 日本画コース 卒業
2018 京都芸術大学 大学院 修了展「優秀賞」受賞
2018 京都芸術大学「シュレディガーの猫展」出展 東京都美術館/東京
2018 京都芸術大学 大学院修士課程 ペインティング領域 修了
2018 京都芸術大学「画心展2018-Selection Vol 15」 優秀賞 受賞 佐藤美術館/東京
2019 ZEN展 優秀賞 受賞 東京都美術館/東京都
2020 Artistsʼ Fair Kyoto 2020 公募 入選 京都文化博物館/京都
2020 IAG AWARDS 2020 入選 東京芸術劇場/東京
2020 ANKNOWN ASIA 2020 ONLNE レビュアー賞×1 受賞
2022 ART GOSE ON -Session 3 / MOVE ON (Yes, art goes on )- 出展 SEASID
STUDIO CASO /大阪
2022 個展「-それは波としてそこに現れる-ψ」STUDIO DIFFUSE MAKE+/大阪